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この人に聞きたい 「心と体を元気にするセロトニン活性術」 東邦大学医学部名誉教授・医師 有田秀穂さん

今回は神経伝達物質「セロトニン」研究の第一人者、有田秀穂先生にお話を伺いました。著書『脳からストレスを消す技術』は22万部を超えるベストセラーとなりました。幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンを分泌させるにはどうすれば良いか、ストレスの多い現代社会において私たちはどうすべきかを教えていただきました。


有田秀穂さん

セロトニン研究の経緯

私は生まれも育ちも東京ですが、小学生の頃は山形に住む祖父と自然豊かな中で夏休みを過ごしていました。田舎生活が気に入った私は一人で汽車に乗って遊びに行くことも多かったです。

学生時代は自然の中で長期間過ごすことはなかなかできませんでしたが、大学二年のときに学園紛争で一年休校となったので友人と日本中を素潜りして周る旅に出ました。朝から晩まで海を漂って自然を満喫していると、潜水するときの穏やかな呼吸によって気持ちが落ち着き、心が満たされていくのを感じました。そして、なぜ呼吸によってこうした効果が得られるのかという疑問を持つようになったのです。

大学卒業後は呼吸器内科での研修後にアメリカで脳科学を学び、帰国後は筑波大学で研究を続けました。そして、睡眠時無呼吸症候群の原因に、脳内の「セロトニン」という神経伝達物質が関わることを発見したのです。これを国際誌に発表したところ、フランスでの国際シンポジウムに呼ばれることとなりました。

フランスの海岸を散歩していたときに「セロトニン神経の活性化には坐禅の呼吸法が関係している」という啓示のような閃きが、突然頭の中に浮かんできました。帰国後に研究を進めた結果、坐禅の呼吸法によってセロトニン神経が活性化され、セロトニンを増やすことが分かったのです。

セロトニンとは

人間の脳にはさまざまな神経伝達物質があり、その一つがセロトニンです。心のバランスを整え、ストレスがあっても平常心を保てるように働いています。太陽光の刺激が目の網膜に入ると脳にあるセロトニン神経は活性化し、セロトニンが分泌されます。

セロトニンが分泌されると、頭を覚醒させる、ネガティブな気分を改善する、自律神経のバランスを整える、姿勢や顔つきをシャキッとさせるといった多彩な働きを示します。一方でセロトニンの分泌が少ないと、朝から頭がボーッとしたままになったり、疲労やイライラを感じやすくなったりするのです。



...続きは遊和46号でご覧ください。

和田秀樹さん

PROFILE

有田 秀穂(ありた ひでほ)PROFILE

医師、脳生理学者。東邦大学医学部名誉教授。 1948年、東京都生まれ。東京大学医学部卒業後、東海大学病院で臨床に、筑波大学基礎医学系で脳神経系の基礎研究に従事。その間、ニューヨーク州立大学に留学。東邦大学医学部統合生理学で坐禅とセロトニン神経・前頭前野について研究。2013年、同大学名誉教授となる。 各界から注目を集める「セロトニン研究」の第一人者。メンタルヘルスケアをマネジメントするセロトニンDojoの代表も務める。 著書に『脳からストレスを消す技術』(サンマーク出版)、『脳科学者が教える やっかいな脳のクセをリセットする 朝5分の呼吸法』(総合法令出版)など多数。

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