今回はテレビ番組でもお見かけする機会が多い、疲労回復の名医・梶本修身先生にお話を伺いました。疲労のメカニズムの解説をされた著書『すべての疲労は脳が原因』はロングセラーとなっています。疲労の軽減・回復のために私たちがすぐに実践できる方法をお聞きしました。
疲労の研究をスタート
私はもともと、大阪大学の精神生理研究室で脳の老化を数値化する仕事をしていました。「最近もの忘れが増えた」という主観的なものではなく、データ化する方法を調べていたのです。
患者さんからさまざまなデータを取っていると、測定結果が毎回微妙に違っていました。本来なら、短期間では老化しないため同じ結果が出るはずです。最初はノイズ(研究に不要な情報)だと思いましたが、研究を進めるにつれてこれが脳の疲れによる差だと分かってきました。
睡眠不足だと結果が少し悪くなり、スッキリしたときはよい結果が出ることがあったのです。こうした経緯から、脳の年齢とともに疲労度も測定できるようになりました。
疲れているのは「脳」
一日が終わると誰しも疲れを自覚すると思います。これは体ではなく脳の疲労、中でも自律神経中枢の疲労によるものです。
自律神経は脳に酸素と栄養を供給し、常に安定した状態を保つための司令塔。消化器には栄養を、肺には酸素を、皮膚には発汗を、心臓と血管には酸素と栄養の運搬を指示しています。当然、運動や仕事で脳と体の酸素需要や栄養需要が高まれば、自律神経には大きな負荷がかかるのです。
つまり、運動・家事・デスクワークをはじめとした活動で生じる疲れの多くは、自律神経中枢の疲労によるものなのです。
PROFILE
梶本 修身(かじもと おさみ)PROFILE
東京疲労・睡眠クリニック院長。医師・医学博士。大阪大学大学院医学研究科修了。2003年より産官学連携「疲労定量化及び抗疲労食薬開発プロジェクト」研究統括責任者。自らプログラム作成したニンテンドウDS『アタマスキャン』は30万枚を超えるベストセラーとなり、脳年齢ブームを起こす。著書に『すべての疲労は脳が原因Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』(集英社)、『寝ても寝ても疲れがとれない人のためのスッキリした朝に変わる睡眠の本』(PHP研究所)などがある。『ホンマでっか!?TV』、『ためしてガッテン』、『世界一受けたい授業』、『林修の今でしょ講座』など、テレビやラジオにも多数出演。