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この人に聞きたい 「免疫を高める生き方で『今の時代』に克つ」 順天堂大学医学部免疫学特任教授・医学博士 奥村康さん

今回は免疫学の世界的権威・奥村康先生にお話を伺いました。健康で過ごすためには、ウイルスに対抗できる免疫力を高めることが必須です。免疫系の仕組みから免疫力を高める生活習慣まで、分かりやすくお話しいただきました。


奥村康さん

免疫学を研究

私の生まれは島根県松江市にある玉造温泉街です。代々医者の家系なので、子どもの頃から医者になること以外は頭にありませんでした。

父の医学部時代の親友に、白い巨塔のモデルになったともいわれる中山恒明先生がいました。食道がん手術を初めて成功させた世界的に有名な先生です。私は子どもの頃からその先生に憧れていたので、先生のいる千葉大学へ進学しました。

ところが、その中山先生が東京女子医科大学に移られたので私は目標を失い、さらに学園紛争もあってほとんど講義を受けられないまま卒業してしまいました。

中山先生に「勉強ができていないから、もう一度基礎医学から学んでこい」と言われ、大学院では病気になる原因を解析する病理学教室に入りました。そこで、アメリカ留学から帰国した免疫学の多田富雄先生のもとで研究することになったのです。


免疫のブレーキ細胞を発見

私たちの体を守る大きな役割をしているのが免疫系です。その基本は白血球の一種であるリンパ球で、そのうちのT細胞が司令塔の役割を担っています。

これまでに免疫反応を引き起こすアクセル役の細胞があることは分かっていましたが、私たちの研究で免疫反応を抑えるブレーキ役の細胞を新たに発見しました。それを「サプレッサーT細胞」と名付けて国際免疫学会で発表したところ、学会の一大ニュースとなりました。

当時大学院生だった私は一躍有名になり、アメリカのスタンフォード大学医学部への留学が決まりました。帰国後は東京大学へ移った多田先生に付いて、助教授として弟子の指導にあたりました。中山先生からは「おまえは免疫の道に進むのが良い」と言われ、ちょうどその頃に順天堂大学で新しく免疫学教室をつくるという話があったので、初代の免疫学教授として赴任し今に至ります。

...続きは遊和41号でご覧ください。

奥村康さん

PROFILE

奥村 康(おくむら こう)

順天堂大学医学部特任教授。アトピー疾患研究センター長。医学博士。
1942年生まれ。千葉大学大学院医学研究科修了。スタンフォード大学留学、東京大学医学部講師を経て、順天堂大学医学部教授、同大学医学部長を歴任。 ベルツ賞、高松宮奨励賞、安田医学賞、ISI引用最高栄誉賞、日本医師会医学賞などを受賞
『長生きしたけりゃテキトー生活を送りなさい!』(海竜社)、『健康常識はウソだらけ』(ワック)、『免疫力を上げて一生健康』(宝島社)、 『やってはいけない健康法』(三笠書房)、『免疫力をグングンあげる「不良長寿生活」』(徳間書店)、『腸の免疫をあげると健康になる』(アスコム)など著書多数。

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