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この人に聞きたい 「首こりを治せば自律神経の失調はよくなる」 松井病院・東京脳神経センター理事長/医学博士 松井孝嘉さん

新型コロナウイルス流行の影響で、在宅勤務や運動不足による首・肩のこりに悩んだ方も多いかもしれません。今回は自律神経治療の世界的権威・松井孝嘉先生の登場です。さまざまな不調の根本は「首」にあることを発見され、多くの患者さんの治療にあたり功績を挙げていらっしゃいます。取材時は全国的に外出自粛期間中だったため先生に直接お伺いすることが難しく、お電話で首の大切さと正しいケアについてお聞きしました。


松井孝嘉さん

日本を世界一のCT大国に

私は香川県で生まれ、東大医学部卒業後は佐野圭司教授の脳神経外科に入局しました。その後アメリカに留学した際には、ジョージタウン大学で世界最初の全身用CTスキャナーの開発チームに最年少で選ばれ、研究に携わりました。このチームのリーダーであるコーマック教授は、我々のサポートもあってノーベル医学生理学賞を受賞しました。

当時、日本人の死因第一位は常に脳卒中でした。それは、どんな名医が診察しても脳出血と脳梗塞の区別ができなかったからです。そんな中、CTによる診断が初めて脳出血と脳梗塞の区別を100%可能にしました。

1975年5月に佐藤栄作元首相が脳卒中で倒れたときも、日本の内科医の最高権威が診察にかけつけましたが、病院へ連れて帰らずその場に寝かせたままでした。

病院へ移しても脳出血と脳梗塞の区別がつけられなかったため、CTの登場前は脳卒中で倒れても動かしてはいけないというのが常識でした。

脳卒中死をなくした

その3ヶ月後、私のアレンジしたCTが東京女子医科大学病院に入りました。これが日本初のCTで、2号機・3号機も私が導入させました。

当時のCTは3億円もしたため、日本中で100台以上の導入は無理だと製造会社は考えていました。しかし、脳卒中は発症後できるだけ早く診断しないと、死亡したり大きな後遺症が残ります。

私は日本の四大メーカーに「脳卒中が診断できるCTを開発し、価格を10分の1にしなさい、そうすれば国内で1万台は需要がある」と説得し宿題を出しました。最終的に価格は1000万円まで下がり、CTは1万台を超えて2万5000台まで普及、日本は世界でも断トツのCT大国となりました。導入数が世界第二位の国とは20倍以上の差があり、脳卒中で日本人は死ななくなりました。日本中どこにいても、脳卒中に怯えず安心して生活できるようになったのです。

今では私は世界で最も画像診断の経験が長いドクターとなり、画像診断でも診断の難しい首の筋肉を研究しています。肺の画像も我々が世界で初めて描出したのですが、このCT普及が今回のコロナ肺炎の早期診断、死亡防止に大変役に立っているのです

...続きは遊和38号でご覧ください。

松井孝嘉さん

PROFILE

松井 孝嘉(まつい たかよし)

医学博士・脳神経外科専門医。東京脳神経センター理事長。松井病院理事長。
東京大学医学部卒業後、東京大学文部教官として頭頸部外傷・デットボールを研究。読売巨人軍の協力を得て野球用耳付きヘルメットを開発・実用化し、デットボールによる死者を皆無にする。その後、アメリカのジョージタウン大学で世界初の全身用CTスキャナーの開発に携わり、日本への導入・普及に貢献。1978年に「頸性神経筋症候群(首こり病)」を発見。10万人以上の治療を行い「首」と「副交感神経」の関係を突き止め、自律神経失調症の治療法を完成させた。
著書には「首こりは万病のもと」(幻冬舎)、「1日5分副交感神経アップで健康になれる!」(朝日新聞出版)、「首は絶対にもんではいけない!」(講談社)など多数。

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