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この人に聞きたい 「自律神経の『閾値』を高めて、活力のある人生を」 ドイツ・ボッフム大学 永代教授 南和友さん

ドイツの心臓治療の第一線で30年間活躍し、執刀した心臓手術は約2万例、心臓移植は約1500例にも及ぶ南和友先生は、まさに「心臓外科のスーパードクター」。 偉大な先生なのでお会いする前は緊張していましたが、ユーモア溢れる楽しい方で、実際はなごやかにインタビューができました。


南和友さん

心臓外科医を志す

私は7人兄弟の次男として生まれ、父親の仕事の関係でよく転校をしていました。今思うと、あれが医者を目指すことにつながったな、という出来事があります。私が8歳の頃、元気だった5歳の妹が突然心臓停止で亡くなったんです。幼いながらに「人はこんな簡単にいなくなるのか」と感じたのを覚えています。

母親は漢方医で鍼灸もやっていて、腰痛や肩こり、頭痛などを患ったたくさんの人たちが治療を受けに来ていました。それを見ていたので東洋医学を身近に感じていましたし、のちのち私が自律神経に興味を持ったことにも影響しているのではないかと思っています。

ドイツで2万例の手術

医科大学に進学し、3年生の頃にはドイツの医療を見学しにデュッセルドルフ大学へ行きました。そこでは毎日6例ほど、年間で1000例以上もの心臓手術が行われていて、週1例程度の日本との違いに愕然としました。大学卒業後に外科医として大学の医局に入ると、手術数は年間50~70例くらいでした。手術数が多いところで研修医生活を送りたかったので、留学制度を利用してドイツに渡ることにしました。

留学期限が迫ってくると大学から戻ってこいと言われましたが、異動がある日本のやり方では一人前の心臓外科医になれないと思い、破門を覚悟してドイツに残りました。

ドイツに渡って8年ほど経った頃、新設の心臓病センターに赴任となり、副所長として働きました。開設5年目には、手術数だけでなくその内容やクオリティも含めて、世界一の病院となりました。センターではチームで1日におよそ20例の手術を行うのですが、30年間の勤務で私が執刀した心臓・血管の手術数は2万例にのぼりました。

突然死にも原因がある

今はさまざまな場所にAED(自動体外式除細動器)が装備されています。AEDとは、心臓の筋肉がけいれんしてポンプ機能を失ったときに、正常なリズムに戻すために電気ショックを与える医療機器です。

命が助かる人はいますが、だからといって「AEDさえあればいい」というわけではありません。

心停止で亡くなる人がいると「昨日までピンピンしていたのに、寿命だったのね」と言われることがありますが、そうではありません。血圧が高かった、自律神経のバランスが乱れて交感神経ばかりが高まっていた、過度な運動をしていた、血圧が急激に変動する血圧サージを起こしていたなど、99%くらいは理由があります…

...続きは遊和31号でご覧ください。

南和友さん

PROFILE

南 和友(みなみ かずとも)

ドイツ・ボッフム大学永代教授。医療法人社団冠心会大崎病院東京ハートセンター顧問。
1974年、京都府立医科大学を卒業。その後ドイツに赴き、30年間にわたって心臓血管外科医として活躍。2004年、ボッフム大学で日本人初の永代教授に任命される。帰国後、2005年~2010年、日本大学医学部で心臓血管外科教授として勤務。2010年、医療法人北関東循環器病院の病院長に就任。これまでに日本人心臓外科医として世界一の2万例超の心臓・血管・肺手術を執刀。現在も現役の心臓外科医として年間100例以上の心臓手術をおこなう。
主な著者として「日本の医療危機の真実」「解病」「病気にならない歩き方」「蘇活力」「人は感動するたびに健康になる」など多数。

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