今回は健康情報番組にも多数出演されている新見正則先生にお話を伺いました。 保険適用のセカンドオピニオンを本邦で最初に始めた方でもある新見先生、トライアスロンが趣味ということで、テレビで拝見するよりも背が高く引き締まった体型で素敵な先生でした。「人生は運と縁」がモットーとのことで、お忙しいにもかかわらず初めて会う私たちにも優しくにこやかに接してくださいました。
日本ではじめての外来
僕は現在、帝京大学で外科医を務めながら臨床研究を行っています。血管外科が専門ですが、希望されるならどんな病気でも西洋医学と漢方薬の知識を精一杯に使って診察しています。
もともとは、無医村の医者になりたくて医師を志し、何でもできる医師を目指して一般外科を選びました。イギリスに留学して西洋医学の素晴らしさを確信したあと、帰国して2002年にセカンドオピニオン外来を立ち上げました。
セカンドオピニオンとは、患者さんが主治医ではない医師に治療の相談をしたり意見を求めたりすることで、イギリスやアメリカでは当たり前になっていましたが、当時の日本では初の試みでした。
日本中から患者さんが押しかけてきて大変でしたが、そこで初めて今の医療で治らない人が山ほどいることが分かったんです。西洋医学に限界があるのではと思い、運動や食事、漢方薬の勉強をしました。
漢方薬を使う外科医
セカンドオピニオン外来を始めるまでは漢方薬をうさん臭いものだと思っていましたが、今ではその魅力にはまり、医師向けの入門セミナーを行うまでになっています。
それは、自分や家族、患者さんに使用して、その有効性を体感したからです。
本来、私たちの体は自分で治す力を持っていますが、早く治すために薬を使っています。みんなそれを忘れているんですよね。特に、西洋医学では治せない訴えや病気としては扱われない症状がある患者さんには、効き目がやさしい漢方薬を用いるとよいケースが多いです。
漢方薬は原料が自然由来のもので、何千年もの歴史の中でリスクが起こりません。
かぜは漢方薬の良さを実感しやすい症状の一つです。かぜの引き始めに漢方薬ですばやく体を温め、ジワーッとした正しい汗をかくとウイルスが早めに処理されます。
引き始めとは汗をかく前のことですが、そのときによく使われているのが葛根湯です。熱を解熱剤で下げるより、葛根湯で熱をさっと出せばすぐによくなるわけです…
PROFILE
新見 正則(にいみ まさのり)
1959年京都府生まれ。
1985年、慶應義塾大学医学部卒業後、英国オックスフォード大学で移植免疫学を学ぶ。
臨床医としての専門は血管外科、セカンドオピニオンのパイオニアでもある。また漢方医としても研鑚を積み、漢方の新解釈「モダンカンポウ」を提唱している。著書に「西洋医がすすめる漢方「(新潮選書)、「患者必読 医者の僕がやっとわかったこと」(朝日新聞出版)、「誰でもぴんぴん生きられる」(サンマーク出版)ほか多数。現在、帝京大学医学部付属病院、愛誠病院で診療している。
2013年「イグ・ノーベル賞」医学賞を受賞。
「人生は運と縁」が口ぐせ。趣味はトライアスロン。