生活と関係する
歯は健康のバロメーターであり、食べるためだけでなく発音・表情・姿勢を保つ・噛むことで脳に刺激を与えるなど、私たちの毎日の暮らしに不可欠な役割を担っています。
健康長寿のためには80歳で20本の歯を残すことが目標となっていますが、実際のところは80歳で8本ほどしか残っていないようです。
口腔(口の中)は、疲労や寝不足などによる全身の問題が症状として現れやすいところです。歯周病がなかなかよくならないときは口腔ケアだけでなく、食生活の改善や睡眠をとるなど体調や生活習慣の見直しも考えてみましょう。
唾液のちから
日本人が欧米のパンを食べると、パサパサしていておいしくないと感じることが多いようです。これは日本人が欧米人よりも唾液の分泌が少ないためで、唾液の量が少ないと味覚が鈍くなってしまいます。
唾液には味覚だけでなく、飲み込みをよくして誤って気管に入るのを防いだり、酸を中和して歯を守ったりする働きもあります。そのため、食前には舌の先で舌の付け根や歯の裏を刺激したり、頬の内側からほうれい線をなぞるように舌を動かしたりして、唾液の分泌を促す「舌の運動」をしましょう。
さらに、歯磨きをする際は分泌された唾液を減らさないように、食後30分程度はあけた方がよいでしょう。
また、緊張や不安が続くと唾液の分泌は抑えられ、口腔内の菌が増えて口臭が生じやすくなります。ゆっくり呼吸をして心身をリラックスさせたり、「いーうー」と声を出して笑顔の練習をしたりするだけでも、唾液分泌のサポートになります。
ちなみに、何でも食べられる元気な高齢者には、唾液がたくさん分泌されて口の中が潤っている人が多いようです。
歯の周囲を守る
日本人が歯を失う最大の要因は歯周病です。歯は弾力性のある歯茎とその下にあるあごの骨(歯槽骨)に支えられていますが、歯周病菌が出す毒素によって歯茎に炎症が起きてあごの骨まで破壊されると、歯が抜けやすくなります…