もの忘れと認知症は違う
現在、65歳以上で認知症の人は400万人を超えるといわれています。
昔の友人の名前が思い出せない、よく物を置き忘れるなどで認知症への不安を抱える人はたくさんいます。しかし、もの忘れが気になる人の大半は認知症ではありません。
一般的に、認知症はもの忘れが多いという自覚がないのが通常です。さらに、「夕食に食べたおかずを忘れた」など部分的なことが思い出せないというよりも、「ご飯を食べたこと自体の記憶がない」など、記憶がすっぽり抜け落ちているのが特徴です。
それは、認知症は過去に記憶した情報を思い出せない病気ではなく、情報が脳に入力・処理されないことから物事が捉えられなくなってしまう病気だからです。
脳は再生される
最近になって、記憶を司る海馬が萎縮するアルツハイマー型認知症では、発病する25年も前から脳に異変が起きていることが分かってきました。つまり、40~50歳代から認知症は始まるということです。早いうちから認知症になりにくい生活を心がけることが重要です。
これまで、脳の神経細胞は一度壊れると元に戻らないといわれていましたが、近年では再生することが分かってきました。週3回、30分~1時間ほど軽く運動することで、萎縮した海馬が元に戻った例が報告されています。
認知症を防ぐことはもちろんですが、発病しても諦めるのではなく、やるべき方策はあるということです。
認知症によい仕事
頭は使えば使うほど神経細胞が結合して脳が活性化するといわれ、脳トレや計算など脳を鍛えることがブームになっています。一方で、教師や公務員のような頭脳を使う仕事に就いてきた人に、認知症を発症する人が多いようです。
頭を使っていても、決まった業務の繰り返しでは脳への刺激は少なくなります。創造性を発揮しやすい画家や歌人、意欲と野心の旺盛な経営者や政治家などは認知症になりにくい職業だといわれています。 これらの人々の共通点は、さまざまな人や自然と交流する機会が豊富で、思わぬ出会いや感動があって心が躍動しやすいことです。
長寿姉妹として有名になったきんさん・ぎんさんも、認知症になりかけた時期があったそうですが、世間に注目されることで意欲が生まれて元気に回復されたようです…