家族の食卓が始まりのすべて
我妻:私どもの会社の営業はご家庭を訪問し病気の予防に対する知識を提供していますが、
病を抱えた方々にひとつ踏み込んでみると、例えば子供さんとの人間関係で悩んでいるなどの
精神的ストレスがあるケースが多くあります。
ですから、ただ薬をお届けすればよいというものではなく、お客様の生活全般に光をあてなければ
ならないと感じています。日本は、いつ頃から家庭内のコミュニケーションが貧しくなってしまったのでしょうか?
服部:それについては調査をしてみました。昭和40年頃から家庭が崩れ始めているのですね。
昭和30年代は高度成長期、39年にオリンピック、そして昭和40年頃から結婚ブーム、住宅ブームです。
昭和10年代や団塊世代がその担い手です。
私もそうですが、この世代は大家族で生活した経験を持つ「ちゃぶ台」世代です。しかし結婚を通じて
核家族になってしまった。豊かになりつつある時代で、笑い話に「隣の家のゴミ箱を見たらグレープフルーツの
皮が見えたぞ、我が家も買ってきて食べて、そのゴミを見えるように出しておけ」というのがありましたね。
我妻:押し寄せてくる物質の波を受け止めることができなったのでしょうね。
服部:そうなんですよ。そして、特に「食卓」というものが崩れてしまうんですね。
私は、3歳~8歳までが大切だと言ってきましたが、この6年間に食卓で「座る姿勢が悪いよ、箸の使い方が駄目だよ、
どうして今日はニンジンを残すの」と繰り返し言ってあげることなんですね。
また、テレビを見ながらの食事、子供が親に何か質問しようとすると「今、いいところだから」と言葉をさえぎってしまう。
子供が大切な信号を発しているのにそれをキャッチできないことが多くある。
私はアフリカ大陸が好きで、ライオンや象などの親子の観察に行きました。そこで共通している親の役目を見い出しました。
それは、子供を独り立ちできるように見守ることです。例えば、メスライオンが身ごもり群れを離れて子供を生む。
生んだ5・6匹を連れて一年後群れに戻り最初にすることは、狩りに連れ出すことです。
風下を教えどんなタイミングで草むらから飛び出したらシマウマを捕えられるかを教える。ここまで訓練したら
生きていけるということを見据えて親の役目が終わるのです。
昔から、「百匹の魚を与えるより釣り糸と釣り針を与えよ」という喩え話がありますね。この知識と技能を与えることは 学校の役割かもしれませんが、与えられたときに素直に聞き入れる素地をつくることは家庭の役割です。
信頼関係をベースに社会貢献
服部:私は、人が幼いうちから一般常識を身に付けさせるのは「食卓」以外にないと
考えてきました。だから、「食育」基本法は「食卓」基本法です。そこには3つの柱があって、第一はどんなものを食べたら
安全か危険か、健康になれるかのように食を選ぶ能力。
第二が、「衣食住の伝承」ということ。これは、先ほど挙げた食事の場を通じて親から子、子から孫へと継承される
しつけや所作の基本を身に付け、人間の基礎力を形成すること。
第三は、日本国内の食料自給率を上げることです。
我妻:私どもの商売は越中冨山の置き薬から始まり、業界の中には「売薬さんとお客さん」
として数代のお付き合いをしている方もいます。しかし、個人の売薬さんから法人組織になり、お客様も核家族が進み
段々縁が薄くなってきています。
そんな中でもお客様のご家庭に定期的に訪問するというスタイル、一対一でお客様と面と向かって接することができる。
このことは、今のような時代にあってすごいことだと思っています。
私たちは、お客様に健康の大切さを伝えながらも、健康になる力が付くようサポートしたい。
たとえば、素人が「サッカー選手ってカッコいいな~」と思っても10分も走り続けられないことってありますよね。それは、
頭ではわかってもトレーニングを積まないと体力がつかないからです。
健康をつくり上げる日常生活の部分に関わっていきたいと思っています。
また、その信頼関係を通じて薬だけでなく、服部先生の「食育」も含め全体的なライフスタイルを提案していきたいと 考えています。それが、企業としての社会貢献に多少なりともなるのではないでしょうか。
服部:世の中に対して企業として果たすべき役割を自覚し、モノやコトを継続し、 信用を勝ち取っていくことは大切なことですね。
我妻:「遊和創刊号」に服部先生に登場していただき反響がありました。また、毎号に掲載される稲毛先生の健康レシピは とても好評です。今後とも様々な形でご協力を宜しくお願い致します。ありがとうございました。
Profile
(左)我妻敏幸 (右)服部幸應
(服部幸應:はっとりゆきお)
学校法人「服部学園」理事長、日本食育学会 理事、医学博士
(我妻敏幸:あずまとしゆき)
株式会社インターナショナルホームメディカル 代表取締役社長





