肝臓の仕事内容

からだのことから 気になる肝臓のこと。

文章 高木昌信
健康管理士

慢性疲労は肝臓からのSOS信号

朝から体がだるい、休んでも疲れがとれない人が増えています。厚生労働省の調査によると、就労者の3人に1人が半年以上の慢性疲労があるそうです。昔から『疲れのもとは肝にある』と言いますが、現代特有の疲労の原因に「肝臓の不調」がありそうです。体内の化学工場・肝臓は24時間働き続ける頑丈な臓器ですが、身体が休息する時に、よく働ける仕組みになっています。そのためストレスで絶えず心身が活動に追い立てられていると、肝臓はダメージを受けてしまいます。そんな「肝臓」からの「休暇願い」が慢性の疲労だと言えます。

肝臓の働きのピークは真夜中

肝臓」が体に一番休んで欲しいと願う時間は夜中の0~1時。「肝臓」の細胞が修復・再生されるピークがその時間帯だからです。したがって、ストレスに加えて、夜更かしの多い夜型の生活が肝臓へのさらなるダメージとなります。そのためか、帰宅時間の遅いサラリーマンに脂肪肝や肝炎が目立つようです。肝臓が「休んで欲しい」と悲鳴を上げています。

肝臓の働く時間脂肪肝の回復といえば、「カロリー制限」や「禁酒」が定番ですが、早めの就寝やストレスの解消にもっと注意が向けられるべきです。忙しい人でも、ぐっすり休む『肝臓の休日』を週2回は設けることなどが、肝臓への労わりになることと思います。


肝臓の仕事と優先順位

肝臓の仕事イメージイラスト

肝臓の仕事は「合成」と「解毒」に分かれます。体の細胞は毎晩5000億もの細胞が入れ替わります。この再生する細胞に原料を作って供給するのが「合成」です。こちらは、肝臓の優先したい仕事。酵素で有害物を処理する「解毒」は、肝臓にとって減らしたい仕事です。

ところが、身体に入る化学物質が多いと、命にすぐ関わるという理由から「解毒」が優先され、原料の合成が後回しになります。その結果、新しく入れ替わる細胞への原料供給が滞り、肌や血管など、あらゆる身体の新陳代謝が低下します。じつはこれが『老化が進む』ということです。ですから、肌や血管の老化であるシミや動脈硬化予防には、肝臓の負担を減らすこと、つまり「十分な睡眠」と「添加物や化学物質を体に入れない」ことが重要になります。

ゴミを胆汁にして捨てている

トンカツなど油っこいものが食べられなくなったというのは、体の油分の消化力が落ちた証拠で、肝機能低下の疑いがあります。油の消化に欠かせない「胆汁」が肝臓で十分に作られていない可能性があります。

この「胆汁」は、血液中のゴミや余分なコレステロールから合成されるリサイクル品です。つまり「胆汁」の排出がいいと、血中の余分なものが減って『デトックス』が進むことになります。病院では肝炎や胆石の治療に、胆汁の排泄をよくする薬「ウルソ」をよく処方します。この薬はもともと「クマノイ」の成分ですが、胆汁をしっかりだせば、デトックスだけでなく、肝臓にもよい影響が出るということです。

胆汁を出すポイントは苦い味

食品イメージイラスト

胆汁をよく出すには、イライラしないことや朝食をきちんと食べること、さらに、苦い味の食品を摂ることも良いとされています。

苦味は体内では《毒》と察知され、早く体外に出そうとして、胆汁分泌を含む解毒が促進されます。したがって苦味性のクマノイ、ウコン、アロエ、オウレンなどの生薬が解毒に使われます。食品で苦味といえばニガウリですが、コーヒーも、飲むのなら苦味をきかせましょう。

漢字の肝には盾として支えるという意味がありますが、その如く、身体を支えてくれている盾こそが肝臓。肝臓を大切にする生活が、現代の健康増進において肝心要なことだと思うのです。

からだのことから バックナンバー